指定の事実だけでは真実は伝わらない。
「麦飯石が食品添加物に認可されているのは本当ですか?」
「麦飯石って食品添加物に指定されてるんですね!知らなかったです」
お客様から、こんな質問や声をいただくことがあります。
食品添加物とは、食品衛生法に基いて厚生労働大臣が指定するものです。
安全性が認められたものが指定されます。
麦飯石は、食品添加物に指定されています。
厚生労働省の行政情報で確認できます。
食品添加物(既存添加物)リスト52番に掲載
指定の名称は「花こう斑岩」。
簡略名又は類別名が、「麦飯石」「不溶性鉱物性物質」です。
簡略名は、指定名称では分かりにくい・なじみがない場合に使えます。
たとえば、「L-アスコルビン酸」が「ビタミンC」と表示できるように。
ですから、「麦飯石」という名前で、食品添加物として表示できます。
用途は製造用剤です。
具体的な使い道は何でしょうか?
代表例は、麦飯石の水を食品加工・製造用水として使うことです。
たとえば、うどん、そば、豆腐、こんにゃく、和菓子、パン、、などなど。
様々な食品加工・製造の現場で使われています。
ただ、ここまでのお話だけでは、お客様を誤解させます。
たしかに、間違ったことは言っていません。
事実を伝えています。
しかし、指定の事実を伝えただけでは、真実は伝わりません。
なぜなら、実情が分からないからです。
よくある誤解がこれ。
「国から食品添加物に指定されている」
「国が安全性を認めている」
これを聞いてあなたは、こんな風に思いませんでしたか?
試験や審査をして安全性を確かめている。
その上で、成分や品質等の規格基準を国が定めている。
規格基準に適合した麦飯石が食品添加物に指定される。
何を隠そう、私がこう思いました。
ですが、実情は違います。
私が思ったことは誤解だったのです。
同じように誤解するお客様が、やはりいらっしゃいます。
「販売している石自体の、食品添加物の証明書はありますか?」
「食品衛生法と食品添加物の許認可は、どうなっていますか?」
こんな質問をいただくのです。
店ごとに検査をして、合格した麦飯石に証明書が発行される。
店ごとに許認可を受けている。
そんな仕組みとお客様は思ったのでしょう。
私の答えは、もちろん決まっています。
「ありません。証明書も許認可もです」
「当店だけでなく、日本中どこを探しても、どの店や会社にもありません」
どういうことでしょうか?
国が指定する食品添加物とは、そんなものなのでしょうか?
悲しいかな人は権威に弱いもの。
そもそも、私やお客様が誤解したのはなぜでしょうか?
国が認めている。
こう聞くと、多くの人が勝手に想像してしまいます。
しっかりした制度があって、厳しく規制されている。
国のお墨付きがあるから安心だ。
こう思ってしまうのです。
つまり、国の権威が、私やお客様を誤解させたのです。
権威は国だけではありません。
言葉もです。
難しそうな言葉が並んでいると、何となく権威があるように見えてしまう。
専門用語、学術用語、法律用語がそうです。
食品衛生法、食品添加物、◯◯試験、☓☓検査、規格基準、許認可、指定、、などなど。
言葉のイメージが誤解させるのです。
「ちゃんとしてそうだな」と、何となく思えてしまう。
でも実情は違います。
指定の事実だけを知った私やお客様は、誤解したわけです。
国や難しそうな言葉の権威に惑わされました。
やはり真実を知るためには、実情を知る必要がある。
こういうことなのでしょう。
そこで、ここから指定の実情を知っていただくためのお話をします。
題して、「そうだったのか!麦飯石の食品添加物指定」。
難しい話はしません。とにかく分かりやすくカンタンに。
お話は3つの部分から成ります。
- 第1は、食品添加物の種類について。麦飯石がどの種類に含まれるのかです。
- 第2は、食品添加物の規制について。種類ごとにどう規制されているのかです。
- 第3は、規制の仕組みの中で、麦飯石がどのように扱われているのかです。
最後まで読めば、真実がスッキリ分かります。
これであなたが誤解することはありません。
そうだったのか!麦飯石の食品添加物指定
2つの食品添加物、「合成添加物」と「天然添加物」
食品添加物は、生成の由来から大別して2種類あります。
「合成添加物」と「天然添加物」です。
「合成添加物」は、化学的合成品です。人工的に造ります。
たとえば、パンを大量に膨らませるのに使うイーストフード。
化学合成品の塩化アンモニウム等、4~5品目を混ぜて造ります。
「天然添加物」は、天然由来品です。天然物から取り出します。
たとえば、豆腐を固めるのに使うニガリ。
海水に含まれる塩から造ります。
麦飯石は「天然添加物」です。
以上2つの食品添加物は、どのように規制されているのでしょうか?
「合成添加物」のみを規制、「天然添加物」は自由に。
昭和22年(1947年)、食品添加物の規制が始まりました。
「指定添加物」という制度です。
この時はまだ、規制の対象は「合成添加物」だけでした。
国が「指定添加物」として認めるには、様々な手続きが必要です。
- 安全性を確かめるための各種試験
- その上で公的な規格基準を定める
- 専門家の意見を聴く、、などなど
こうして認められたモノだけが使える。
規格基準に従った製造と使用が求められる。
これが「指定添加物」制度です。
まさに私やお客様が、誤解して思ったような規制の仕組みです。
一方の「天然添加物」は、規制されませんでした。
「指定添加物」の制度ができる以前から長年使われてきた。天然物だ。
だから安全ということでしょう。
「合成添加物」のみを「指定添加物」として規制する。
「天然添加物」は自由に使える。
こういう状態が50年近く続きました。
急に規制されて困った「天然添加物」。明日から豆腐屋さんが営業できない?
平成7年(1995年)に食品衛生法が大改正されます。
「指定添加物」として規制する対象が拡大されました。
それまでの「合成添加物」のみから、「天然添加物」も規制することになったのです。
この改正で大混乱が予想されました。
長年にわたり使われてきた「天然添加物」です。
食品加工・製造の現場で、不可欠になっています。
それを急に規制すればどうなるか?
上述のように、「指定添加物」として認めるには、様々な手続きが必要です。
その期間は少なくとも約1年。指定の手続きを終えるまでは使えません。
これは困ります。
たとえば豆腐屋さん。
「明日からニガリは使えません」となれば仕事になりません。
「天然添加物」を救済する制度「既存添加物」。これで豆腐屋さんも助かった。
そこで、例外をつくって救済しました。
「既存添加物」という制度です。
「既存添加物」に指定された「天然添加物」は、これからも同様に続けて使える。
こう認めたのです。
指定はするけど規制はしない。以前と同じように自由に使える。という制度です。
長年使われてきた「天然添加物」が、この時「既存添加物」に指定されました。
ニガリをはじめ489品目です。(※) この中に麦飯石も含まれます。
豆腐屋さんは助かったのです。
※ニガリの指定名称は「粗製海水塩化マグネシウム」
※平成26年(2014年)のリストでは365品目。当初の品目から、安全性に問題があるもの、使用実態がないものが削除されています。
日本一やさしい「既存添加物」制度の解説
つまり、「既存添加物」とはこういうものです。
長年使われてきた実績があるから安全だ。
試験や審査はしない。
規格基準も決めない。
手続きは何も要らない。
それでも食品添加物(「既存添加物」)に指定する。
急に使えなくなると困るでしょ。
だから、今まで同じように、自由に使っていいよ。
これからも規制はしないから。
検査も許認可もないからね。
ということで、例外的に食品添加物として使うことを認めたものです。
「ずいぶんいい加減だな」
そう思いましたか?
でも、「既存添加物」とはそういうものです。
「昔からの伝統があり、普及しているから問題ない」
この判断で、ある意味いい加減な制度にしているのです。
たとえばニガリ。海水を煮詰めて造ります。
煮詰め終えて、ニガリができた時点で食品添加物になります。
仮に、私が明日造っても、あなたが3日後に造ってもです。
こんな実情で指定の手続きや許認可などあるはずもない。
ニガリと名のつくものすべてが、食品添加物として表示できます。
あっちの豆腐屋のニガリは食品添加物に指定されている。
でもこっちの店は指定されていない。
そんなことはあり得ないのです。
長年使われてきたから、これからも今までと同じように使っていいよ。
麦飯石が指定されているのは「既存添加物」です。
「長年使われてきたから、これからも今までと同じように使っていいよ」
ということで認められました。
ですから、「指定添加物」とは事情が違います。
各種試験を行い、安全性が認められたから、食品添加物に指定されたのではありません。(※)
成分、製造、使用の規格基準は定められていません。
規格基準がない。ということは検査のしようがありません。
したがって、各店各社が個別に検査を受けて、認められるものではありません。
麦飯石という天然岩石そのものが、食品添加物に指定されているのです。
当店の麦飯石も、他店の麦飯石も、他社の麦飯石も、どれもです。
麦飯石と名のつく岩石は、すべて食品添加物として表示できます。
規制がないのは業者に対してもです。
食品添加物を製造する業者は、営業許可が必要です。添加物製造業許可といいます。
ですがこれは、「指定添加物」の話。
「既存添加物」を製造する業者には、許可制度はありません。
そもそも製造するモノ自体に基準がないし規制もない。
だから、それを製造する業者についても、許可制度の対象外なのです。
このように、食品衛生法では、
麦飯石および麦飯石を取り扱う業者に対する規制は、一切ありません。
以上が、麦飯石の食品添加物指定の実情です。
※厚生労働省は、「既存添加物」の安全性を順次確認しています。具体的には、「安全性の調査研究」と「規格基準の制定」です。しかし、平成26年(2014年)時点で実施されたのは、まだごく一部の品目。麦飯石もまだ実施されていません。
| よくある誤解 | 実情 | |
|---|---|---|
| 試験・審査 | 国等の公的機関が各種試験を行い、安全性を確かめている | 「既存添加物」なのでなし |
| 規格基準 | 国等の公的機関が定めた規格基準がある | 「既存添加物」なのでなし |
| 指定の手続き | 国等の公的機関に申請して認可されている | 「既存添加物」なので不要 |
| 店・会社ごとの個別検査 | 各店各社が個別に検査や認可されている | 「既存添加物」なのでなし |
| 食品添加物製造業の許認可 | 各店各社が許認可を受けている | 「既存添加物」の製造は許認可の対象外、制度がない |
まとめ ―有名無実―
国から食品添加物に指定されている。
こう聞くと、何となく立派な姿を想像してしまいます。
しっかりした制度があって、その仕組みの中で厳しく規制管理されている。
このようにです。
ですが、誤解してはいけません。
麦飯石が指定されているのは「既存添加物」。
試験や審査等の手続きを経て指定される「指定添加物」とは違う。
長年の使用実績が認められて指定された。
公的な規格基準はない。
個別に検査や認可されるものでもない。
つまり、指定されているのは名前だけ、規制管理の実体は何もなし。
有名無実な状態である。
これが、麦飯石の食品添加物指定の真実です。
国や難しそうな言葉の権威に惑わされてはいけません。
誤解しないように気を付けましょう。

